こちらの記事では、ソーラーカーポートを建築する際に行う「建築確認申請」とはどのようなものなのか解説しています。なぜこの申請が必要となるのか、どのような流れで進めるのかという点も併せてご紹介していきます。
ソーラーカーポートは、建築基準法により定められた建築物です。そのため、設置しようとする場合には、建築確認申請を行い、建築基準法や関連法規に則ったものかどうかを確認する手続きを行います。
建築確認申請は「建築物が安全かどうか」を審査するために行われるものです。建築基準法に違反している建物の場合、防災などの面で周りの建物などに悪影響を及ぼす可能性も考えられます。万が一火災が発生した場合などにソーラーカーポートが燃えてしまった場合、隣の建物への延焼の可能性も考えられます。
このような点から、建築確認申請により建築しようとしているソーラーカーポートが法的に問題なく、安全などに配慮されているかを十分に確認しておくことが求められます。
カーポートは柱と屋根のみの単純な構造であるため、自由に建てられそうなイメージを持ちがちです。しかし、ソーラーカーポートは「建築物」に分類されることから建築基準法の適用を受けるため、さまざまな制限を受けます。
建物を建てる場合には、例えば敷地面積に対する建築物の面積を表す「建ぺい率」や、敷地面積に対する建物全体の延床面積を表す「容積率」が関係してきます。対象の土地に建てられる建築物の規模は、その土地の建ぺい率と容積率によって決まりますが、ソーラーカーポートの場合も同様です。そのため、設置前に地域の法規制や土地の条件などの確認が大切であるといえます。
また、ソーラーカーポートの屋根部分には、太陽電池モジュールを搭載しています。そのため、建築基準法の規定が適用される建築物であるほか、電気事業法の規定が適用される工作物に該当することになります。
以上から、ソーラーカーポートを設置しようとする際には、建築基準法のほか電気事業法の規定も満たすことが必要となる点には注意が必要であるといえます。
このように、設置するソーラーカーポートの大きさなどによって、建築確認申請が必要かどうか変わってきます。そのため、建築を計画する場合にはソーラーカーポートの大きさと建築確認申請が必要かどうかを確認しておくことが大切です。条件によっては建築確認申請が不要の場合もありますが、建築確認をしない場合にはさまざまなデメリットがあります。
例えば、下記の3つの条件全てに当てはまった場合には、建築確認申請が不要となります。
上記のような場合には、建築確認申請が不要となります。例えば、設置するソーラーカーポート1台分の広さしかない場合には面積が10㎡以下となるケースが多いと言えます。この場合、その他の2つの条件にも当てはまる場合には建築申請は不要となります。逆にいうと、2台以上のスペースを設ける場合には、多くの場合建築確認申請が必要といえます。
ただし、前述の通り建築確認申請を行わない場合にはさまざまなリスクがあります。例えば災害リスクについて確認できないことや、万が一火災が発生した場合に隣の建築履に延焼するなどのリスクが高まる可能性が考えられること、さらに建ぺい率や容積率をオーバーしていないかを確認できないために、建物を手放すときに不利になってしまう可能性があるなどのデメリットが考えられます。
ここでは建築確認申請の流れとそれぞれの期間について紹介しますので、申請を検討している場合にはぜひ参考にしてください。建築確認申請を行った際の審査は、「着工前」と「完成後」の2回実施されますが、下記のような流れで進められます。
自治体の担当課または自治体の指定する確認検査機関に対し、建築主が建築確認申請を行います。
申請を行うと、工事の着工前に自治体などによる事前審査が実施され、審査が完了すると「確認済証」が交付されます。この確認済証は、図面・計画の上では建築基準法に違反していないことが証明され、工事の着工が可能となります。事前審査にかかる期間は、通常の建築物の場合は7日間以内となっています。
建築確認済証の交付後、工事の着工となります。ソーラーカーポートの場合、建築工事は早くて1日で終了します。
工事完了後、完了検査の申請を行います。原則として完了から4日以内に完了検査の申請を行います。
完了検査の申請から7日以内に完了検査が行われます。この検査では、現物を見て「建築された建物が法令を遵守しているか」を確認します。完了検査に合格すると検査済証の交付が行われ、建築確認は終了となります。
建築確認申請を行ってから検査済証の交付までにかかる日数は、申請内容や建物に問題がない場合には合計で35日以内となっています。
建築確認申請を行う場合には、さまざまな書類が必要となります。ここでは、どのような書類が必要なのかをご紹介します。
参照元:株式会社J建築検査センター|[確認申請] 必要書類チェックシート
(https://www.jaic-co.com/wp-content/uploads/2020/09/A35-確認申請必要図書一覧.pdf)
※1 確認の特例(法6条の4)物件の場合、必要な事項を他図面に明示することで添付を省略可能
※2 必要な事項を他図面に明示した場合は添付を省略可能
建築確認申請を行う際に必要となる書類は、地域や建築する建物、計画の内容などによって異なりますので、前もって自治体などに確認することが大切です(上記以外にも追加で書類提出を求められる場合があります)。また、必要な書類や書式については、自治体のホームページからダウンロードできます。
また、建築確認申請には非常に多くの書類が必要となり、専門的な内容のものも多くあります。そのため、施工業者や建築士などに申請を代行してもらうことが一般的となっています。
建築確認申請が通らない理由として考えられるのが、「法令上求められる基準に違反している建物」となっている可能性が考えられます。例えば、構造基準における違反や、用途制限の違反、防火性能の不足といった点が挙げられます。
また、申請を行うにあたって申請書類や設計図面に不備がある場合や未確認で着工をしているなど、「手続きに関する規制への違反」がある可能性も考えられます。
設置後に違反が発覚した場合には、行政から是正命令が下される可能性が考えられますが、これには建物の改修や使用停止命令が含まれることもあります。場合によっては建物の撤去を命じられるケースも。このような状況にならないためにも、法令を遵守し、適切な手続きを行うことが大切になってきます。
こちらの記事では、ソーラーカーポートの建築を検討している場合に知っておきたい建築確認申請について紹介してきました。ソーラーカーポートも建築基準法の建築物に該当しますので、法令に違反せずに建築を行う必要があり、建築確認申請を行うことが求められます。ただし、この申請は多くの書類を揃える必要があるなど手続きが煩雑であるため、可能であれば設置業者などに代行を依頼することがおすすめといえます。
ここでは、企業向けに産業用ソーラーカーポートを提供しているメーカー20社の中から、公式HPに事例を掲載している業者を絞り込み、大規模・中規模・小規模という施設の規模に加え、信頼性・柔軟性・低コストと3つの要望別におすすめのメーカーを紹介します。
引用元:カケフ住建(https://kakefujuken.jp/)
別売り
(自由に選択可能)
引用元:ネクストエナジー・アンド・リソース(https://pd.nextenergy.jp/)
セット売り
(両面発電太陽電池モジュール)
【選定条件】
「産業用 ソーラーカーポートメーカー」とGoogle検索して上位表示される企業のうち、
公式HPやカタログに企業向け、産業用といった記載のあるソーラーカーポートを提供している会社をピックアップ。そのなかで、公式HPで確認できる情報を基に以下の要望別で各社を選定しました。
■大規模・信頼性=カケフ住建(100台以上の大規模施設の導入実績があり、環境省優良事例に掲載され建築申請代行が可能な唯一の会社のため)
■中規模・柔軟性=ネクストエナジー・アンド・リソース(11台以上の中規模施設の導入実績があり、公式HPに個別設計に対応している事例を掲載している唯一の会社のため)
■小規模・低コスト=サンエイ工務店(1台からの小規模施設に向けたバリュープランがあり、公式HPにある設置費用が一番安かったため)
(2023年10月5日調査時点)