ここでは、ソーラーカーポートの施工主であるEPC事業者や工事業者の方に向けて、架台のタイプや施工方法、おすすめのソーラーカーポートの架台をご紹介します。
野立の太陽光発電設備などとは違い、ソーラーカーポートは太陽光パネルの下を駐車場として利用するため、建築物に該当します。このため、床面積10㎡以上のソーラーカーポートを設置する際は、建築基準法や消防法などの関係法規を遵守し、基準をクリアしなくてはなりません。基本的に「増築」の扱いとなるため、建築確認申請も必要です。
架台を選ぶ際は建築確認申請に対応している製品か、申請自体を代行してくれる業者なのかをチェックすると、施工もスムーズに進むでしょう。
建築基準法を抑えたうえで、パネルとは別でソーラーカーポートの架台を選ぶ際、考慮しておきたいのが架台のタイプと工法。架台のタイプには片持ち・両支持・T字Y字型、工法にはコンクリート基礎・キャストイン工法・スクリュー杭などがあります。
以下、それぞれの違いを詳しくみていきましょう。
引用元:カケフ住建(https://kakefujuken.jp/info/507/)
メリットは、車の出し入れがしやすい点です。雨や雪などで視界が悪い日でも、ぶつけるリスクをあまり考えずに駐車することができます。
ドアの開け閉めもスムーズ。「強度が不安」という方もいるかもしれませんが、最近では片持ちでも積雪に耐えられるタイプなど、さまざまな製品が販売されています。
一方でデメリットは、やや高額であること。2本柱で屋根を支える構造や、風雪に耐える頑丈な構造を実現するため、コストが高くなっています。
引用元:UISOLAR(https://www.uisolarpv.com/四本支柱カーポート_p27.html)
両側に屋根を支えるための柱がついてるタイプです。
メリットは、価格が安いこと。昔から販売されている形でもあり、各メーカーから数多くの製品が販売されています。柱の本数が多いほど重さが分散しやすいため、強度を重視したい方にもおすすめ。ただしその分、駐車がしづらい、ドアの開閉をする際に柱が邪魔になるなどのデメリットもあります。
また、変形した土地や、片側に配管などの地下埋蔵物がある土地などでは設置できない場合があるようです。
引用元:ユニバーサルエコロジー(https://unieco.co.jp/solar_carport/)
T字型は、柱が内側に入った構造が特徴です。Y字型は、片持ちタイプのカーポートを背中合わせに二つ設置し、車を二台駐車できるようにしたカーポートのことです。
どちらも屋根部分が非常に大きいため、デザイン性が高く、よりスペースが広く見えるような効果も期待できます。
また、隣地・道路境界近くまで屋根を伸ばせば、アプローチにも屋根をかけることが可能です。ただし、料金は高め。設置する場合は広いスペースも必要です。
引用元:自然エネルギー財団(https://www.renewable-ei.org/activities/column/20180223_02.html)
コンクリート基礎とは、地面の中にコンクリートを流し込んで大きな基礎をつくり、アンカーボルトなどで架台を固定する方法のことです。
メリットは、広い面積を支えられる点・強度を出せる点や、一般的な施工法でどの業者でもできる点です。
一方で、整地をする手間がかかる点、コンクリートが固まるまで時間がかかる点、工事が大がかりで費用もかかる点などはデメリットです。
引用元:日経クロステック(https://xtech.nikkei.com/dm/article/FEATURE/20141009/381522/?P=6)
キャストイン工法とは、地面に大きな穴をあけて、杭を差し込んだ周りをコンクリートで固める方法のことです。
地盤の状態に関わらず、充分な強度を得られる上、大がかりな工事が必要なく、設置したい箇所にピンポイントに設置することができます。
また、施工工数が最小限で済むため、工期を短縮することができます。
一方で、対応の架台が少ない点はデメリット。しかし最近はキャストイン工法対応の製品もさまざま登場しており、工法としても主流になりつつあります。
引用元:KJC公式HP(https://www.kjc-i.com/?page_id=13240)
専用の機械で杭を地面に打ち込んで、太陽光パネルを支える工法です。施工そのものは比較的簡単で、さまざまな現場で一般的に行われています。
施工費もリーズナブルです。杭のネジ部分の突起羽が大きいほど地面に引っかかりやすくなり、高い安定性が期待できます。
ただし、耐久性は埋め込む地面の強度に左右される上、地震や時間の経過によりゆがみが生じやすいため、強度が弱い農地、積雪地域や強風地域などには向いていません。
ここでは実際に施工に携わるEPC業者や工事業者に向けて、「施工のしやすさ」「豪雪に強い」「暴風に対応」というそれぞれの強みを持つ架台メーカーを厳選してご紹介します。
【選定条件】
「ソーラーカーポート 架台」とGoogle検索して上位表示される企業20社のうち、
公式HPやカタログに企業向け、産業用といった記載のあるソーラーカーポートを提供している会社をピックアップ。
そのなかで、公式HPで確認できる情報を基に以下の要望別で各商品を選定しました。
■施工のしやすさ=カケフ住建のSanti(キャストイン工法を採用し、建築申請代行に対応している製品のため)
■豪雪に強い=ネクストエナジー・アンド・リソースのDulight150(150cmの積雪にも対応できる製品のため)
■暴風に対応=インリー・グリーンエナジージャパンのMOENZO(44km/sの耐風圧強度を持つ製品のため)
(2023年10月5日調査時点)
引用元:カケフ住建
(https://kakefujuken.jp/info/507/)
架台のタイプ | 片持ち(2本) |
---|---|
工法 | キャストイン工法 |
ソーラーカーポートは建築物なので、建築基準法に則った設計・施工・監理を行わなくてはなりません。また、建築確認申請も行う必要があります。
しかし、確認申請書や建築計画概要書、建築工事届などさまざまな書類を用意しなくてはならず、非常に手間がかかります。カケフ住建のソーラーカーポートは、国内生産&国内設計なので建築確認申請もスムーズです。ニーズに合わせて申請手続き代行も行ってくれます。
確かな技術とノウハウを元に、高品質なソーラーカーポートを提供しているカケフ住建。企画・設計・調達・加工・施工まで一貫して自社で行うことで、施工コストや納期などにも配慮しながら、柔軟にニーズに応えてくれます。
特に注目は、施工性の高いキャストイン工法。地面に穴をあけて、杭を差し込んだ周りをコンクリートで固めるだけなので、大規模なソーラーカーポートでも短期間に設置することができます。
引用元:ネクストエナジー・アンド・リソースHP
(https://pd.nextenergy.jp/special/solarcarport_Industrial/)
架台のタイプ | 両支持(4本) |
---|---|
工法 | 公式HPに記載なし |
Dulightの魅力は、ラインナップが豊富な点です。災害時の避難所としても活用できる産業用をはじめ、積雪99cm以下まで対応可能な「Dulight 99」、後方支持タイプの「Dulight Spacious」など、ニーズに合わせて選ぶことができます。
中でも注目は、積雪150cmまで対応した「Dulight150」。設計基準風速も38m/s以下なので、これまで設置をあきらめなければならなかった積雪地域等でも、安心して設置することが可能です。
積雪地域に合ったソーラーカーポートを実現するには、架台部分と太陽電池モジュールの両方に耐荷重性能がなくてはなりません。ネクストエナジー・アンド・リソースでは、長年培った経験を活かして太陽電池モジュールの下に補強梁を追加。それにより150cmもの積雪荷重に耐えられる構造を実現しています。
また、前後の柱をこれまでの2本から3本に増やすことで、カーポート全体の耐荷重性能も高めています。
引用元:インリー・グリーンエナジージャパン
(https://www.yinglisolar.co.jp/MOENZO/)
架台のタイプ | 両支持(4本) |
---|---|
工法 | 公式HPに記載なし |
耐風圧強度とは、台風や強風時にカーポートがどれだけの風に耐えられるかの目安。15m/sで人が転倒する危険が増し、20m/sで大人が立っているのが難しいほどの風の強さです。 台風や強風時にカーポートがどれだけの風に耐えられるかを示す「最大平均風速」という項目もあります。
MOENZOには一般タイプと積雪タイプがあり、積雪タイプは耐風圧強度44km/s。耐水性能も高いため、雨風から車をしっかり守ることができます。
インリー・グリーンエナジージャパンのソーラーカーポート「MOENZO(燃えんぞぅ)」は、ユニークな名前どおり、とにかく火に強い点が特徴です。
国土交通省の「飛び火認定(DR)」を取得。「飛び火」とは「火の粉による建築物の火災(延焼)のこと」を意味します。一定の耐火性能が認められており、市街地や駅周辺など建物が密集した地域、建築基準法第22条指定区域や準防火地域などにも安心して設置することが可能です。
上記以外のソーラーカーポートの架台もあわせて紹介。事例や魅力を詳しく見てみださい。
【選定条件】
「ソーラーカーポート 架台」とGoogle検索して上位表示される企業20社のうち、
公式HPやカタログに企業向け、産業用といった記載のあるソーラーカーポートを提供している会社をピックアップ。
そのなかで、「おすすめのソーラーカーポート架台3選」で紹介している商品以外のものを選定しました。
引用元:日創プロニティ
(https://www.kakou-nisso.co.jp/product/pdd002/)
ソーラーネオポートは、両側に設けた柱で屋根を支える「両支持タイプ」を採用。スチール製で強度が高い上、耐風圧強度46m/秒を標準とするなど、安全性の高い設計です。カラーは、メトロシルバーとシャンパンゴールドから選ぶことが可能です。
引用元:GCストーリー
(https://solar-carport.jp/cases)
「トモシエ」は、GCストーリーが提供しているソーラーカーポートブランドです。「太陽光発電一体型のカーポート」「太陽光発電搭載型のカーポート」「オーダーメイドタイプ」など、ニーズに合わせて選べるさまざまな製品をラインナップしています。
引用元:サンエイホールディングス
(https://saneihd.jp/column/20201207_heriosport/)
ヘリオスポートは、柱の位置が後方にある「スムーズタイプ」、最大で間口約11mまで支柱が不要な「スタンダードタイプ」、オーダーメイド対応の「バリュータイプ」、3種類をラインナップしています。いずれも頑丈な構造で、施工性に優れている点が特徴です。
引用元:三協アルミ
(https://alumi.st-grp.co.jp/products/public/solar_kadai/energyearth/)
軽量かつ高耐久を誇るアルミ製のソーラーカーポートです。一般地域用と積雪地域用の2種類を用意しており、これまで設置が困難だった積雪エリアでも太陽光発電システムを搭載したカーポートの設置が可能となります。
引用元:茂山組
(https://www.solar-kadai.com/lineup/parking.html)
基礎形式や架台の角度・高さの調整ができるソーラーカーポートです。日射条件や敷地環境に合わせて設計を行っているため、発電効率やメンテナンス性を考えたレイアウト提案が期待できるでしょう。素材にアルミを使用しているため、耐久性にも優れています。
引用元:タカミヤ
(https://www.takamiya.co/product/detail/154/)
国内生産の鉄骨造ソーラーカーポート。屋根材が不要であり、太陽光モジュールが屋根材の役割も果たすつくりになっています。シンプル設計のため、メンテナンスも簡単。設計から施工まで、タカミヤが一貫して対応しています。
引用元: TMMジャパン
(https://www.themountmakers.jp/products/)
片側ウィングのL型と両側ウィングのY型を用意しています。屋根材の代わりに太陽電池モジュールを縦置きするつくりになっており、さまざまな太陽電池モジュールに対応可能。また、オプションにて雨樋をつけることも可能です。
前面開放型ソーラーカーポート用スチール架台の
魅力や導入事例について
詳しく見る
引用元:ヒュージエナジー
(https://jp.hugergy.com/ソーラーカーポート--防水型_p46.html)
ソーラーカーポート(防水型)は防水効果に優れていて、全方位に防水対策を行っています。大規模産業用や住宅にも適用可能です。製品を自社生産できる広大な工場を持っており、徹底した生産管理を実施しています。
ソーラーカーポート(防水型)の
魅力や導入事例について
詳しく見る
引用元:コウェルエナジー
(https://jp.cowellxm.com/carbon-steel-single-column-solar-carport-system)
工場で事前に仮組立てを行ってから出荷するので取付作業が簡単で、短時間で施工することができます。すべてを自社工場で一貫して製造しています。通常仕様と防水仕様、2つのラインナップから選択することが可能です。
引用元:エネルギーギャップ
(https://www.energygap-jp.com/aile/)
両面発電太陽モジュールを採用。表面だけでなく地表からの反射光など裏面に当たった光も電力に変換できるため、発電量を向上させることが可能です。1列に支柱を配置した施工を行うことで、建築コストを削減します。
引用元:RBI SOLAR
(https://rbisolar.jp/car/)
設計から建築確認申請、施⼯までワンストップで対応。オーダーメイド設計なので、さまざまな要望に柔軟に応えることが可能です。ソーラーカーポートのカラーを選択することもでき、また他社部材による施工にも対応しています。
引用元:リープトンエナジー
(https://www.leaptonenergy.jp/stand/簡易型カーポート/)
開発から設計、製造まで一貫体制で対応しており、自社設計なのでフレキシブルな対応が可能です。自社工場で製造しているため細かいニーズにも応えられるでしょう。海外拠点もあり、ワールドワイドな取引も行うことができます。
引用元:日栄インテック
(https://www.nichieiintec.jp/solar/2117.html)
5段階の積雪仕様により、最大積雪150cmまで対応しています。わずかな地域を除けば、日本全国への設置が可能です。また、二重止水構造を採用しているため、経年劣化による車室内への雨水の侵入を防ぎます。
ここでは、企業向けに産業用ソーラーカーポートを提供しているメーカー20社の中から、公式HPに事例を掲載している業者を絞り込み、大規模・中規模・小規模という施設の規模に加え、信頼性・柔軟性・低コストと3つの要望別におすすめのメーカーを紹介します。
引用元:カケフ住建(https://kakefujuken.jp/)
別売り
(自由に選択可能)
引用元:ネクストエナジー・アンド・リソース(https://pd.nextenergy.jp/)
セット売り
(両面発電太陽電池モジュール)
【選定条件】
「産業用 ソーラーカーポートメーカー」とGoogle検索して上位表示される企業のうち、
公式HPやカタログに企業向け、産業用といった記載のあるソーラーカーポートを提供している会社をピックアップ。そのなかで、公式HPで確認できる情報を基に以下の要望別で各社を選定しました。
■大規模・信頼性=カケフ住建(100台以上の大規模施設の導入実績があり、環境省優良事例に掲載され建築申請代行が可能な唯一の会社のため)
■中規模・柔軟性=ネクストエナジー・アンド・リソース(11台以上の中規模施設の導入実績があり、公式HPに個別設計に対応している事例を掲載している唯一の会社のため)
■小規模・低コスト=サンエイ工務店(1台からの小規模施設に向けたバリュープランがあり、公式HPにある設置費用が一番安かったため)
(2023年10月5日調査時点)